政策方針

「世界一安全な日本」目指す
 
初当選から16年目
 安倍内閣が誕生し、私は法務大臣を拝命しました。初当選から16年。ようやく大臣に就任でき、うれしく思っています。
 日本が破綻状態にあった時に登場した5年余りの小泉内閣は、国民の支持を得て改革の流れを揺るぎないものとし、経済も回復してきました。これを踏まえ、安倍内閣は「美しい国」づくりを使命としています。その一員として全力を尽くしてまいります。
 法務行政はこれまで法務副大臣、法務委員長を務め、党の責任者として入管・矯正体制の整備、裁判員制度の立案などにかかわってきましたが、大臣として「世界一安全な国・日本」を目指して期待に応える決意です。
 ところで、小泉内閣での最後の仕事として、9月7日〜12日、退任を目前にした小泉総理の最後の外遊となったフィンランド訪問に同行しました。総理の外遊には政務の内閣官房副長官が交代で同行する例となっており、私もカナダ、アメリカなど5度の外遊に動向しました。
 総理の外遊に同行することは、政治家として得がたい機会です。重要な外交に直接接する事が出来ますし、何よりも往復の政府専用機の中や宿泊地で、食事などの間に総理のお考えを直に聞く事ができるからです。
小泉外遊に同行、大きな収穫
 退任を目前にした小泉総理は、まことに淡々としたご様子で靖国、北東アジア外交、郵政などの諸改革、これからの政治方向など、思いを語っておられました。
 小泉改革について、いろいろ議論はあるにせよ、国のリーダーとして全精力を費やされていたことがよくわかりました。また、歴史を大変よく学んでおられることにも敬服しました。政治に携わるものとして、大変勉強になり、ありがたく思っています。
 小泉総理は異色の総理といわれていますが、その外遊の多さも歴代の中で出色です。5年余の任期中の外遊は51回、飛行距離は地球20周にのぼります。
 小泉総理の外遊というと、アメリカでのプレスリーのような行動が印象付けられているせいか、物見遊山と思う人もいるようですが、まったく違います。国の将来をかけての国際会議・各国首脳との会談での緊張、気苦労、視察・会食での気配りは並大抵のものではありません。総理にとって外遊は、非常に疲れる仕事だったろうと思います。
 フィンランド訪問の目的は、10年目を迎えるASEM(アジア欧州首脳会合)出席のためです。この会議は、英、仏、独、中、韓はじめ38カ国の首脳が一堂に会するものですが、会議中、各国の首脳がこもごも小泉総理に駆け寄り、多年の活躍に対して敬意と慰労を述べていたのが印象的でした。国際社会に築かれた総理の地位を垣間見た思いがしました。
 また、世界遺産となっているスオメンリンナ島を視察しました。18世紀に建てられた海上要塞です。
 総理はそこに転がっている小石を拾い上げ、「これはただの小石だが、自分にとっては思い出深い”宝石”である」と言って持ち帰られ、その小石に自分とフィンランド首相との記念サインを入れました。
 こんなことが訪問国の国民の琴線に触れ、マスコミでも大きく取り上げられ、日本に対する親近感の向上に寄与していると思います。
ヘルシンキの核シェルター
 また、フィンランドでは今まで知らなかった興味深いことがいくつもありました。
 ひとつはフィンランドのカラスは黒くないことです。日本語名は「ハイイロガラス」というのだそうですが、フィンランドでは白と黒のまざった鳥をカラスと呼んでいるのです。本屋でも調べましたが間違いありません。
 国の防衛に関する考え方も大分違うようです。フィンランドではEU(欧州連合)に加盟しながらNATO(北大西洋条約機構)に参加していない中立国ですが、徴兵制が敷かれており、アフガニスタンやシリアの国連軍に積極参加しており、全部で3万人しかいない軍隊で1000人以上を国連に派遣しています。
 また、核戦争に備え、多数の核シェルターを設置しています。私が視察したのは地下50メートルに岩盤をくり抜いたもので、6000人を収容できる大規模なものでした。人口50万人のヘルシンキや周辺には全部で56ヶ所、80万人を収容する施設があり、平時はスポーツ施設などとして利用されているのです。
 ロシア、スウェーデン、デンマークなど、近隣諸国に攻め込まれてきた長い歴史がこれらの基盤にあるのでしょう。まさに「備えあれば憂いなし」です。日本では「国防能力を高めると、かえって敵の攻撃を招くことになる」という反対論が聞かれますが、これは「備えあれば憂いあり」というべき議論です。
 フィンランド大統領のハロネン氏は女性です。総理との会談で、大統領が「フィンランドでは女性の議員がまだ4割しかいない」と不満を述べられたのには驚きました。
 同大統領は未婚の母。大統領に就任された後に結婚されたのですが、その相手は子どもの父である男性とは違う方だそうです。
 また、首相のヴァンハネン氏は首相就任後に離婚されたそうです。日本では考えられないことですが、こんな国情が大統領の発言につながっているのでしょうか。そのヴァンハネン首相が市議会議員でもある、というのにも驚きました。
 グローバル化、世界的な流れというのがはやりですが、その国その国で歴史、伝統、文化が異なることを踏まえながら考えねばならないなと痛感しました。ところ変われば品変わる、とはよく言ったものです。
(人材ビジネス 2006年11月1日/vol.244 連載第6回 永田町から より)